カルチャースタディーズ研究所インタビュー 第1回
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建築家・宮崎晃𠮷さんに聞く
歴史ある町での開発のあり方
インタビューと文|カルチャースタディーズ研究所 三浦展
2026年4月3日収録|2026年6月26日公開|2/3ページ
資料|株式会社HAGISO
谷中の町の歴史と構造を踏まえる
谷中は寺町で、70以上の寺院が集まっている。江戸時代に徳川家の菩提寺である寛永寺が上野の山に建立されたのをきっかけに、明暦の大火などの大火事の機会に神田などから寺院が次々移転してきたためだ。
寺院ができると墓参りの客が増え、まわりには茶屋や見世物小屋ができたので、江戸時代には谷中への墓参りはちょっとした庶民のレジャーだった。そして寺院境内のまわりを小さな町家(商店)が囲う形で町が発展した。だから一歩通りの裏に入ると静かな寺院の境内がある。これは宮崎さんが設計し運営している「最小文化複合施設HAGISO」でも共通している。
そこで、今回のスターバックスでも入口は通りに面して作らなかった。入口は隣の中野屋との間の路地を進んだ先にある。谷中周辺は戦争での空襲の被害が少なかったことから戦前の路地空間が残っている。その路地の体験をしてほしいと考えたのだ。「歩んでいく先に思いがけない出会いがある都市、奥行きのある都市は豊かなんじゃないか」と宮崎さんは言う。
また路地の先を入口にすることで、客の行列をなるべく通りに出さないことができるし、駐輪もなくせる。入口横のベンチはペットの散歩の途中に寄っていただくときの居場所にもなる。
